Why It Happens

「1日にたんぱく質◯g」を数える前に——国の基準は、1日ぶんの表ではありません

アプリで1日のたんぱく質を数えて、届かなかった日に「今日は失敗」と思う。——その数え方は、基準の側の使い方とずれています。

基準は「1日ぶん」ではない、と書かれている

厚生労働省が定めている 日本人の食事摂取基準 について、e-ヘルスネットの解説にこうあります。

食事摂取基準は「習慣的な」摂取量の基準を与えるものであり、短期間(例えば1日間)の食事や1食・1皿の基準を示しているものではありません。

「1日間」も「1食」も、名指しで否定されています。

```基準が言っていること 習慣として、どのくらいか数えているもの 今日1日で、どのくらいか```

1日の数字が届かなかったことは、基準に対する不足を意味しません。——基準は、そもそも1日で判定する形になっていません。

数字が5種類ある。目的が違う

同じ解説に、指標の一覧が出てきます。

摂取不足の回避を目的とした「推定平均必要量」、「推奨量」、科学的根拠が得られない場合の「目安量」、生活習慣病予防のため当面の目標とすべき摂取量やその範囲を示す「目標量」、とり過ぎることで健康を損なうことのない最大量を示す「耐容上限量」

5つとも、別の目的で作られています。

推定平均必要量/推奨量不足を避けるため
目安量科学的根拠が足りないときの代わり
目標量生活習慣病の予防のため
耐容上限量とりすぎを避けるため

よく混ざるのが、推奨量と目標量です。——片方は不足の話、もう片方は生活習慣病の話で、揃える理由がありません。「基準値」とだけ書かれた数字を見たときは、5つのどれなのかを先に確かめるほうが早いです。

エネルギーについては、また別の形になっています。「目標とするBMIの範囲」として示されている、と書かれています。

「体重×◯g」という形では書かれていない

設定のしかたについても、はっきり書かれています。

食事摂取基準は、性、年齢階級別に設定されていて、平均的な体位を想定しています。

```基準の形 性別 × 年齢階級よく見る形 体重 × ◯g```

体重あたりで示す言い方は、この基準の書き方ではありません。——別の場所(たとえば競技者向けの資料)から来た数字である可能性があります。どちらが正しいという話ではなく、出どころが違う、というだけのことです。

誰に向けて作られているか

対象についても書かれています。

対象は、健康な個人や健康なものを中心として構成されている集団とし

危険因子があってもおおむね自立した日常生活を営んでいる者は含む、と続きます。治療中の食事の話ではありません。——そこは別の指示が優先します。

そもそも、たんぱく質とは何か

同じ e-ヘルスネットの用語解説にはこうあります。

全ての動物および植物の細胞を構成する主要な成分であり、生体乾燥重量の約50%を占めます

筋肉や臓器や皮膚といった体をつくる成分であり、同時にホルモンや酵素や抗体といった体を調節する成分でもある、と説明されています。筋肉のためだけの栄養素として書かれてはいません。

不足したときについても書かれています。成長障害や、体力・免疫機能の低下が挙げられ、先進国でも、食事の量が落ちた高齢者で同じ問題が見られるとされています。

一方で、とりすぎについてはこうです。

たんぱく質は歴史的に不足の問題が主であったために過剰の問題に関しては必ずしも十分には知られていません

「問題ない」ではなく「十分には知られていない」と書かれています。——ここは断定されていない側です。

この記事で確認したこと

1日の合計を数えること自体は、悪い方法ではありません。——ただ、届かなかった1日を失敗と呼ぶ根拠は、基準の側にはありません。


出典

この記事は広告ではありません。特定の商品を薦めるものでも、効果を保証するものでもありません。持病がある場合や治療中の食事については、医療機関の指示が優先します。

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