Why It Happens
「BMI 25以上は肥満」は日本の基準です——世界共通なのは計算式のほうだけ
健康診断で「BMI 25以上」と言われて、肥満と書かれた。——その25という数字は、日本の基準です。世界共通なのは計算式のほうだけです。
共通なのは式、違うのは線
厚生労働省の e-ヘルスネットに、こうあります。
計算方法は世界共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なり、WHO(世界保健機構)の基準では30以上を”Obese”(肥満)としています。
続けて、日本の基準についてこう書かれています。
一方、日本人は欧米人よりもBMIが平均的に低いことが特徴であり、日本肥満学会の基準では25以上を肥満と定義しています。
```式 体重(kg)÷ 身長(m)の2乗 ← 世界共通線 日本 25以上 / WHO 30以上 ← 共通ではない```
同じ体で、国をまたぐと呼び名が変わります。——海外の記事で「BMI 28でも肥満ではない」と書かれていても、それは嘘ではありません。線が違うだけです。
理由も書かれています。日本人は欧米人よりもBMIが平均的に低い、という集団の特徴が根拠になっています。
「肥満」と「肥満症」は、別のもの
同じページの、いちばん見落とされやすい一文です。
肥満だけでは治療の対象とはならず、治療が必要な「肥満症」とは区別されます。
BMIが25を超えたこと自体は、治療の対象ではないと書かれています。
```肥満 体格の分類肥満症 治療が必要な状態として区別される```
健診の紙に「肥満」と印字されたことと、治療が要ることは、同じではありません。——心配のしどころが変わります。
低いほうにも線があります。
また、18.5未満は「低体重」(やせ)に分類されます。
上だけでなく、下にも分類があるということです。体重を落とす話をするときは、こちらの線も同時に在ります。
メタボの判定に、BMIは主役ではない
もう1つ、混ざりやすいところです。
メタボリックシンドロームの診断基準では、BMIではなく腹囲が用いられますが、メタボリックシンドローム予備群を拾い上げる観点から、特定健診・特定保健指導の基準には腹囲に加えてBMIも用いられます。
診断基準で使われるのは腹囲であり、BMIではありません。特定健診のほうでは、腹囲に加えてBMIも使う、という並びになっています。
```メタボの診断基準 腹囲特定健診・特定保健指導 腹囲 + BMI```
「BMIが高いからメタボ」ではありません。——測っている場所が違います。
目標として使うときは、また別の形になる
食事のほうの基準では、BMIは判定ではなく目標の範囲として出てきます。日本人の食事摂取基準では、エネルギーの指標が「目標とするBMIの範囲」として示されています。(→ 国の基準は、1日ぶんの表ではありません)
同じBMIという数字が、場面によって「分類の線」だったり「目標の範囲」だったりします。——どちらの意味で出てきた数字なのかを先に見ると、読み違えが減ります。
この記事で確認したこと
- BMIは 体重(kg)÷身長(m)の2乗で、計算方法は世界共通である
- 肥満の判定基準は国によって異なる。WHOは30以上、日本肥満学会は25以上
- 日本の線が低い理由として、日本人は欧米人よりBMIが平均的に低いことが挙げられている
- 「肥満」だけでは治療の対象とはならず、治療が必要な「肥満症」とは区別されると明記されている
- 18.5未満は「低体重」(やせ)に分類される
- メタボリックシンドロームの診断基準ではBMIではなく腹囲が用いられる。特定健診では腹囲に加えてBMIも使う
- 食事摂取基準では、BMIは分類ではなく「目標とするBMIの範囲」として使われている
25という線は、日本という集団に合わせて引かれたものです。——線の意味を知ってから、自分の数字を見てください。
出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-002.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「日本人の食事摂取基準」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-025.html
この記事は広告ではありません。特定の商品を薦めるものでも、効果を保証するものでもありません。判定や治療の要否は、健診の結果票と医療機関の判断によります。