Why It Happens
体重が変わっていないのに中身が変わることがある——ただし研究が見た範囲は狭い
体重計だけでは分からないことがある。——それが体組成計を使う理由です。そして、その理由を書いた研究は、自分の限界も一緒に書いていました。
なぜ体重(BMI)だけでは足りないのか
理学療法の研究に、こう書かれています。
体格栄養評価にはBody Mass Index(BMI)があり,簡易的で広く用いられている。しかし,BMIは,身長・体重で構成されているため,骨格筋量や脂肪量等の体組成成分の変化が把握できない。特に高齢者はBMIの変化がない場合でも,体組成成分の変化を示すことがあるため,体格栄養評価においては体組成成分をみる必要がある
BMIは身長と体重だけで作られています。——中身の入れ替わりは、そこに現れません。
何を比べた研究か(ここを取り違えないこと)
対象は,健常若年者102名(男性63名,女性39名,年齢19.6±1.6歳)である。BIA法による身体組成測定には,InBody520(インボディ・ジャパン社製)と家庭用身体組成計インナースキャン(TANITA社製・BC-622)を用いた
比べているのは、2台のBIA機器どうしです。——X線を使う測定(DXA)と比べたものではありません。〔言えることの範囲が変わるので、先に書いておきます〕
結果は、非常に強い相関
対象者全員のFFMIはr=0.97(p<0.01),FMIはr=0.97(p<0.01)と非常に強い相関がみられた。性別にわけた結果でも,男性のFFMIはr=0.96(p<0.01),FMIはr=0.97(p<0.01),女性のFFMIはr=0.92(p<0.01),FMIはr=0.96(p<0.01)と非常に強い相関がみられた
FFMI=除脂肪量指数、FMI=脂肪量指数。——どちらも体格の影響を補正した指標です。
そして、研究が自分で限界を書いている
しかし,本研究は対象が限られているため,今後は対象者範囲を広げ臨床での有用性について明らかにしていく必要がある
対象は「健常若年者102名・平均19.6歳」です。
```この研究が言えること 健常な若年者では、2台の機器の値が非常に近いこの研究が言えないこと 高齢者では/病気のある人では/子どもでは、どうか```
結論の一文の直後に、著者自身が範囲を狭めています。——読む側が広げてはいけない、ということです。
この記事で確認したこと
- BMIは身長と体重で構成されるため、骨格筋量や脂肪量の変化を把握できない
- 高齢者はBMIが変わらなくても体組成成分が変化することがある
- 健常若年者102名で、2台のBIA機器のFFMI・FMIは r=0.92〜0.97 の非常に強い相関
- 研究自身が「対象が限られている」と明記し、範囲を広げる必要があると書いている
数字が強いことと、その数字を自分に当てはめてよいことは、別です。
出典
- 家庭用身体組成計の臨床応用の検討(理学療法学 2015年) https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2015/0/2015_1423/_article/-char/ja
この記事は広告ではありません。特定の機器を薦めるものでも、効果を保証するものでもありません。健康状態の判断は、測定機器の数字ではなく、医療機関で行ってください。